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2007/05/11[院長コラム]「アナタはオートクチュールをお持ちですよね。」補綴の神秘1
5月の連休は皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか?
私は家族と京都へ行き、眩しい新緑の下を寺社巡りでひたすらテクテク歩いて参りました。気分もリフレッシュし、また皆様の健康のためにがんばります。
さて、今回は「オートクチュール」のお話です。「オートクチュール」はいわずと知れたパリの高級衣装店協会加盟店での高級注文服のことです。お客様一人一人にピッタリの究極のオーダーメードの代名詞にもなっています。どうみても高級ブランド品が似合いそうもない体型の有名人の方も「オートクチュール」で作ればそれなりになるのは流石だと言わざる得ません。もちろん「オートクチュール」を持っていらっしゃる方はそうはいらっしゃらないと思います。「オートクチュール」に限らずオーダーメード(誂え)は贅沢の一つであり。憧れの一つでもありましょう。
ところが、その「オートクチュール」ばりのオーダーメードなモノを多くの皆さんはお持ちのはずです。かなり沢山持って(?)いらっしゃる方もおいでではないでしょうか?
そうなのです。皆さんのお口の中に入っている銀歯や冠そして、入れ歯は究極のオーダーメイドなのです。当然のことながらお口の中は千差万別です。歯の大きさや形、噛み合わせ、色、・・・・。体型の違いなどお口の中の違いに比べれば微々たるものです。そのお口の中の形を採り(印象と言います)、型から石膏という一種の石で模型を立ち上げ、噛み合わせや周りの歯や歯ぐきに合わせてワックス(蝋)で形作り、キャスト(鋳造)し、金属の冠や銀歯、入れ歯を作るのです。一般にはやはり歯科技工士という国家資格を持った専門職の方が驚異的な手間ひまをかけ、熟練の技で仕上げるのです。
日本人は器用なことで知られています。日本の歯科技工士さんの中には世界のトップクラスの方が沢山いらっしゃいます。
当然、その様な人間国宝級の歯科技工士さんの仕事は技工料が高価であり、健康保険では発注出来ません。しかしながら、究極の「誂えもの」を、たとえ健康保険レベルでも、冠がお口に入って歯医者さんが調整して、『噛み合わせは高くないですか?』『大丈夫です。』の会話・治療で当たり前と感じているのは様々な意味で大きな間違いだと言わざる得ません。
オーダーメイドという手間ひまのかかる特別な医療が国民皆保険で供給されるには、実はそれなりの犠牲に基づかなければ最初から成り立たないのです。それゆえ、昨今では身体の一部になる冠や銀歯を中国で作って輸入するビジネスも横行しています。
ペットフードの毒物混入事件に類するでなくても、直接、ヒトの口の中に入る一種の人工臓器が利潤を確保するために中国製になっているこの現実を皆さんはどう感じられるでしょうか?
我々、歯科医師も歯科技工士もこの現状を非常に憂いております。しかし、現在の健康保険制度ではそうしなければ歯科医療が成り立たないギリギリの選択なのも現実なのです。
お口の健康にまぎれもなく『オートクチュール」は必要なのです。0.01mm違ってもあなたのお口には入らないのです。当たり前のことです。でも、それにはコストがかかるのです。コスト負担を無視した現在のシステムは色々な所で破綻しています。
当たり前と皆様は思っていイルかもしれませんが、そこには当たり前ではない恐ろしい事実が沢山あるのです。
皆様も時よりの急な暑さに体調を崩されません様気お付け下さい。