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2011/01/20[院長コラム]今、中学校の食育/給食を憂う?! その1 がんばる栄養士さん
こんにちは。
厳しい寒さが続いていますが、皆さんお変わりありませんか?東京では空気が乾燥して風邪やインフルエンザが勢いを増している様です。ご自愛下さい。
さて、わたくしは10年近く近隣の公立(区立)中学校の校医をさせて頂いています。父の代から一緒に検診などには参加しておりましたので、お付き合いはもう20年以上になります。
毎年の事なのですが、ついこの間「学校保険委員会」という会合に出席しました。内科学校医、耳鼻咽頭科学校医、眼科学校医、薬剤師、そして歯科で私。学校側からは栄養士さん、養護の先生、校長先生、副校長先生が出席されました。
栄養士さんは学校給食に関しての報告をされていました。全国的に今、中学校の学校給食がどのような状況なのかは分りませんが、「食育」が言われる中現場の方のご苦労が痛いほど分りました。まずは、そんな状況を又聞きではありますが、今日は書こうと思います。
まず、一回の給食の費用がどのくらいか皆さんご存知ですか?一時期話題にもなったのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、その中学校では平均305円70銭かかっているそうです。昨年までは国の補助があったのですが、仕分けの結果でしょうか?今年はその補助が無くなってしまい実際は301円で出来上がらせなければならないらしいのです。とても苦しいと栄養士さんがおっしゃっていました。
さらに、今年は主婦の皆さんはご存知の様に猛暑で野菜の値段が高騰し、献立造りにとても苦労されているとの話でした。
基本的に、学校給食は、成長期の子供達への十分なエネルギー量をまず考え、そして栄養のバランスを考え、さらには献立として子供達へ食べる事の楽しさや豊かさ文化を伝える事を考えられているそうです。その様な中で限られた予算のがあり、食材の高騰があり、代替えの食材を探すにも一苦労だそうで、もう限界だとのお話でした。
お話の中、言われれば最もなのですが気付かされたのは「残菜の割合」という事でした。こんなに一生懸命栄養士さんが考え、調理師さんが作った給食を生徒が全部食べてくれれば良いのですが、と言うか「エネルギー量も栄養価も全部一人前食べる前提」な訳ですから、食べてもらわなければ困るのですが、必ず食べ残しつまり「残菜」が出るのです。栄養士さんはこの「残菜の割合」をとても気にしていらっしゃいました。毎回の給食の残菜の割合を量っているのです。残菜の割合が10%以下を目指しているそうですが、例えば昨年夏のメニューでの「ゴーヤチャンプル」の残菜率が29%だったとか、牛乳にしても日によって違うのだそうですが、「こんなに捨ていいの?!」と思うほどの日もあるそうです。生徒達もその日の体調や猛暑などの気象で食欲の落ちることもあるのでしょうけれども、「食」というものが自分達の口へ届くまで生き物の命を『いただく』事を始めとしてどれだけ多くの人たちの努力や苦労の結晶なのかをもっと教えていかねばならない様な気がしました。
今、当たり前の様にある「食事」は地球規模で見ればとても贅沢な食事でしょうし(後で書きますが本当に良い意味で贅沢です。)、現代日本社会でも「飢餓死」する方がいらっしゃる現実を考えたいものです。
次回は、給食の具体的な献立や栄養素に関して。
そして次次回は、その様な細心の配慮がされている給食へ私が問題だ!と考える点について書きたいと思っています。