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2025/03/06[院長コラム]ひな祭り
こんにちは
暦は3月に入りましたが、東京では3月によく雪が降ります。今日も低い雲が垂れ込めて北風の寒い1日です。来週からは暖かくなる様ですが、古から言われる様にお彼岸までは三寒四温が続くのだと思います。みなさんご自愛ください。
さて3月といえばひな祭りですよね。桃の節句にお雛様を飾るという古式ゆかしい風習は日本全国に見られる習わしです。皆さんの家にはお雛様はあるでしょうか?どんなお雛様ですか?お雛様も時代の流れとともに様々な流行り廃りがあるようです。以前には緋毛氈の五段飾り・七段飾りとかそれはそれは大きな大人数なお雛様が流行った時代もありましたが、昨今は住宅事情なども反映して女雛男雛だけのそれもインテリアとして違和感のないものが主流になってきているそうです。我が家にも女雛男雛のタイプのお雛様が二組あります。娘が二人いるのでそれぞれにと娘たちを産んだ妻が希望したため二組揃えました。なんでも妻によれば次女であるがゆえお姉さんの1組だけのお雛様がとても羨ましかったのだとか。娘たちにはそういう思いをしてほしく無いと長女と次女其々に買い与える事に相成りました。特に次女のためのお雛様はわざわざ車で霙降る浅草橋の久月まで出向き長女のお雛様に見劣りしない様にと女雛男雛でもかなり大きなお雛様を買い求めたことを思い出します。
ところが親の心子知らずとはよく言ったもので、成人し独り立ちした娘たちは自分のお雛様など眼中になく当家の納戸の中の段ボール箱に入れっぱなしになっています。せめて年一度は箱から出して風に当ててあげないとどうなってしまうのか心配はしているのですが、入れっぱなしになってすでに十数年経ち私自身も出すのが億劫にさらに傷んでいるだろう姿を見るのが怖くて出せないでいる始末なのです。皆さのお宅にはそんな身の上のお雛様はいらっしゃいませんでしょうか?あるとき身近な方とお話をしていて、やはり娘さんのためのお雛様は押入れに入りっぱなしとのこと、世間様ではそういう身の上のお雛様が結構いらっしゃるんじゃなかろうかと感じています。それを実証する様に3月3日が近づくと全国の津々浦々で寄付された何千体ものお雛様ディスプレーの光景がよくニュースに流れます。そこに至って寄付された訳は様々だと思いますが、少なからず当家の様な身の上のお雛様もいらっしゃるのではと推測されます。段ボール箱に入ったままも捨てることも忍びなく寄付され、まだしも年一度皆さの目を楽しませる事にお雛様自身も複雑な心境では無いでしょうか。
代々引き継いてきたゆかしく季節を思い起こさせてくれる雅な風習は絶やす事なく引き継いでいきたいものです。しかしまたその一方で時代とともに変わっていくことも拒んではいけないと思います。夫婦別姓の議論が囂(かまびす)しい昨今ですがそもそも保守派と言われている方々の言われている「伝統」とはほんの明治以降の話でしかなく、はるか平安時代からいらっしゃるお雛様たちにはどの様に聞こえているのでしょうか。