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2024/11/03[院長コラム]多様性(ダイバーシティー)を考える

こんにちは

11月に入り今年もあと二ヶ月ですね。今日は文化の日、久しぶりのお秋空に気持ちの良い休日を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。さて今日は皆さんと最近よく言われる「多様性」について考えてみたいと思います。

きっかけとなったのは先頃朝のニュースで見た「境界知能」の方々の不自由さについての特集でした。IQという物差しがあるのは皆さんもよくご存じではないでしょうか?IQ(知能指数)は一般に85〜115が平均値とされているそうです。概ね70を下回ると知的障害とされ障害者手帳が給付され社会的な支援の手が差し伸べられますが、その狭間にいる方が人口の14%(1700万人)7人に1人いると言うことです。この人数は結構な人数では無いでしょうか。私たちのごく身近に人知れずそういう方々がいるという事です。かく言う私も身の回りに「境界知能」がゆえにと理解せず偏見の目でみてしまってる人がいるかもしれません。この特集を見て境界知能の方々の暗闇やご家族の戸惑い・葛藤・苦しみを思うとともに、ではIQ84の人と85の人の違いはどうなんだろうかと思わざる得ませんでした。人個人を表す際に物差し的な直線状への順番付で評価することの意味や困難さを思い。さらには人其々の属性を含めた「多様性」が叫ばれそれを受容することが当たり前の正義の様に言われている現代、私たちは本当にどこまで「多様性」なるものを理解しているのでしょうか?そして、それをどこまで受容していけば良いのかを考えました。

「多様性」つまりダイバーシティ(diversity)とはオックスフォード英語辞典によると「互いに非常に異なる多くの人や物のあつまり」と定義され、障害や人種、国籍、年齢、性別といった生まれ持った特徴で変えることできず、比較的分かりやすい特徴は「表層的ダイバーシティ」と呼ばれ、価値観や宗教、思考などわかりにくいが重要な個人の内面的な特徴は「深層的ダイバーシティ」と呼ばれるそうです。さらに視点を変えれば一人の個人の中にも多様性が存在し、また多様な個人の結びつき方も家族であったり会社であったり地域であったりと関係性の多様性の中にあると言えないでしょうか。つまり「多様性・ダイバーシティー」とはいかなる個であってもそのあり方を尊重し共存する状態と言えましょう。

では、何故今「多様性」なのでしょうか。「多様性」が認められない社会では、常に誰かが犠牲になったり苦しい思いをしているはずでありそれはもしかすると明日の自分かもしれない訳です。つまり「多様性」が認められる社会であれば自分自身を大切にして生きていける社会であるということになるのです。そしてまた、このコスモス地球上には文字通り多様な生物が存在しそれらは包括する大きなシステムの中でお互いに役割と関係性を保った上での微妙なバランスの中で生きておりどの生物が欠けてもそのバランスが崩れてしまう可能性があるわけで、そして言うまでもなく人ホモサピエンスもその一部であるがゆえです。

まず、世界は多様性で保たれているという絶対真理があり。そのことを尊重しなければ私たちは存続し得ない。という事実を理解する事が大切です。

とは言え、画一性と効率を求める資本主義社会や権威主義の時代、分断と不寛容な孤立主義の現代、「多様性」を受容することの困難さは誰もが理解するところでしょう。分かり得ないものを解ろうとする知力そして理解の及ばないものを理解しようとする想像力、この人間に与えられた尊い二つの能力をフルに働かせてより良い(と、思われる)社会そして世界を築いて行きたいではありませんか。

今回は物差しの様な二次元レベルのレッテル付に関しては考察できませんでした。それもまた「多様性」の一側面であることは間違い無いのですが、それに加えて社会システム上の問題、私たちの思考の中での区別や差別の問題などとリンクしていると思われます。とても重要な事柄ですよね。また考える機会を持ちたいと思います。