新着情報|用賀の歯医者で歯周病、噛み合わせ、
インプラント治療なら「髙橋歯科醫院」

03-3700-5811
お問い合わせ

2021/12/23[院長コラム]2021年から未来へ 本当に問うべき事とは

こんにちは

 

今年もいよいよあと一週間とわずか2022年の幕開けが近づいてきました。

日本では総選挙後国民の望んだ代わり映えのしない社会が続き地球規模では新型コロナウィルスのパンデミックの収まらない1年間でした。相次ぐ変異株の登場で元には戻れない世界がどこまで続きその先どう変わっていくのか政治経済にとどまらず地球規模での温暖化やそれらをとりまく社会情勢の変化がめまぐるしい時代がしばらく続きそうです。

さて、岸田首相は「新たな資本主義」なる文言を掲げ新政府を立ち上げました。今回はこのことにまつわる考えを今年最後のブログとしてそして2022年への思いとして書き記したいと思います。まずは9月のコラムに書いた医療廃棄物の問題がらみで、つい先だって医療廃棄物と同じテーマである産業残土処理問題をNHKの「おはよう日本」で取り上げられていました。まだ記憶に新熱海での豪雨時の地滑りが不法投棄された産業残土の盛り土が原因だったとのことから取り上げられました。盛り土に対してきちんと汚染対策や安全性を担保する施工をするとその処理場の整備に多額の費用がかかるため結果一部の処理業者がなけなしの利益を上げるために違法投棄をしている実態を紹介し、専門家のコメントを含め安全に処理できる仕組みや責任の所在をはっきりとすべきだとの結論で終わっていました。しかしながら、それでことは解決するのでしょうか?この結論では不十分だと思いました。世間では色々な問題が取り上げられ、どの問題においても「⭕️⭕️できる仕組みや責任の所在をはっきりとするべき。」といった紋切り型のフレーズを耳にしませんか?何故、同じ解決策が繰り返し言われ続けているのにも関わらず何一つ解決されないのでしょうか。それはその結論が実は結論ではなく結果であるという事に他なりません。

おはよう日本ではきしくも桑子アナウンサーが(おそらく自分自身の発言の深意を理解していず)残土処理業者も利益の出る仕組みを作らなけらばなりませんね。風な発言をしていました。問題は正しくそこなのです。そのような仕組みができない理由はなんでしょうか?他でもなく市場原理であり市場原理を是とした資本主義自体なのです。そしてその資本主義の限界と私も感じている本当の原因を切っ先よく述べているのが、佐伯啓思氏です。佐伯氏は京都大学総合人間学部教授を務めた社会経済学者であり保守の論客として様々な発言をしています。佐伯氏は12月18日付の朝日新聞朝刊・「異論のススメ」で「資本主義」の臨界点と題して次のように述べています。

だが、資本主義とはいったい何のなのか。首相のいう成長を可能とする「新しい資本主義」というものがありうるのだろうか。〜中略〜端的に言えば、経済活動の「フロンティア」の拡大が必要となるのであり、この時に経済成長がもたらされる。〜中略〜一気に地球規模で空間のフロンィアが拡張した。〜中略〜先進国は、グローバル化で発展途上国に新たな市場を求め、新たな金融商品や金融取引に利潤機会を求め、ITという新技術にフロンティアを求めた。〜中略〜とすれば、空間、技術、欲望のフロンティアを拡張して成長を生み出してきた「資本主義」は臨界点に近づいていると言わざるえない。「分配」と「成長」を実現する「新しい資本主義」も実現困難といわざるをえないだろう。

問題はどこにあるのだろうか。「資本主義」が間違っているのだろうか。岸田首相の政策論が誤っているのだろうか。そうではない。問題は昨日よりも今日の方が豊かであり、明日はさらに豊かでなければならない、というわれわれ自身の意識にこそあるのではないか。〜中略〜皮肉なことに、人間の「有限性」を突破しかねない今日の技術のフロンティアにあって、先進国は経済成長の限界に突き当たっている。われわれはようやく「資本の無限の拡張」に疑いの目をむけつつある。とすれば、われわれに突き付けられた問題は、資本主義の限界というより、富と自由の無限の拡張を求め続けた近代人の果てしない欲望の方にあるのだろう。  以上

保守の論客として近代人の自由のあり方を常々批評してきた部分とかぶさるところは賛成できませんが、概ね私たち自身の欲望のあり方自体が物事の本質であるという趣旨は全く同意します。そして、今ようやくカーボンニュートラルやCO2の排出規制、グリーンニューデールなどが世界の潮流になりつつある中で、とあるエコノミストの意見はよほど注意しなけばなりません。彼は温暖化防止の流れを是としながらも、今の流れが一挙に作られたのはグレタさんでも誰でもなく、金融・経済システムが温暖化防止の様々な取り組みが新たな資本のフロンティアと見込んだからだと言うのです。私たちは己が欲望を自制し寛容し覚悟しながら生き馬の目を抜く資本主義のシステムに争い組みしていく必要がまだまだあるようです。

今から。そして明日へ向けて。

 

当院は  12月28日まで通常診療です。年明けは1月7日金曜日からになります。

みなさん 良いお年をお迎えください。