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2014/12/04[院長コラム]先生?達の走る師走
こんにちは
ついにやってきました!今年も師走〜!!
今年は 先生とはおこがましい政治家連中が走り回っている「師走』です。
世の中、あいも変わらぬ時代錯誤の経済政策での失態隠しとも取れる衆議院選挙だそうです。 目先の事に惑わされず、しっかりとこの時代とその意味、そして将来を見据えた投票をしたいですね。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、当院は去年から仲間の7歯科医院と一緒に年二回の「ヘルシースマイル」なる院内ニューズペーパーを皆さんにお届けしています。
見開きの4ページで表紙と4ページ目は各医院のオリジナルそして中2ページが持ち回りの特集記事になっています。
今回は、私高橋が担当しました。その内容を「ヘルシースマイル」を読めない方へもお届けしたいと思います。 以下本文です。ちょっと長いですがどうぞお読み下さい。
なを写真は本文とは無関係です。近頃の当院のスナップです。
「
健康寿命と平均寿命
厚労省の発表では健康でいられる日本人の平均年齢は男性で71,19歳、女性で74,21歳だそうです。かたや健康寿命と平均寿命との間には男性では 9,02年女性では12,40年の差があります。と言う事は人生の最晩年おおよそ10年間は何らかの介護や援助を受けながらの人生になると言う事です。こ れは決して短い時間ではありませんし、さらに「終わり良ければすべて良し」にならないと言う残念な数字ではないでしょうか。
死亡原因の第三位は?
人生の晩年においては様々な身体の不具合が生じることは已むを得ません。その中で長い間死亡の三大疾病は「悪性新生物(いわゆるガン)」「心疾患」「脳 血管疾患」でしたが、平成23年に「肺炎」が「脳血管疾患」を抜いて第三位になりました。そしてこれは24年もまだ続いています。さらに65歳以上の高齢 者の「肺炎」のうち9割以上が「誤嚥性肺炎」だと言われています。この事は何を意味しているのでしょうか。
生き永らえるということ
私たちは普段「口から食べる」と言う事を意識することはありません。あまりにも当たり前の事だからです。動物にとっては「口から食べられなくなること」は「死」を意味する事なので逆説的に言えば「生涯を通じて口から食べること」が出来ている訳です。
しかし、医学の発展は私たちの寿命を延ばすと共に「口から食べる」ことが出来なくても生き永らえる事を可能にしました(胃ろうの造設や経管栄養)。
無論そうした医学の発展の恩恵を受けた人々も多くいらっしゃいますが、その一方で「臓器単位中心の医療」の急速な進歩は「人が老いつつ生きると言う意味」を置き去りにしてきている事が近年厳しく批判されています。
臓器単位中心の医療における弊害
皆さんは「誤嚥性肺炎」と聞いてどんな状態を思い浮かべるでしょうか?むしろ「口から食べる」事がなければ誤嚥性肺炎にはならないように思わるのではな いですか?実は逆なのです。しかし、勘違いをしてはいけないのは胃ろうや経管栄養で「お口から食べる」ことが出来ない人であってもあることがきちんと出来 ていればそうそう「誤嚥性肺炎」にはならないのです。
そして、そのあることをないがしろにして臓器単位中心医療の視点で「誤嚥性肺炎」を恐れるあまり、必要のない「胃ろう」の造設が安易になされているのが今の医療の現場なのです。
「胃ろう」の造設は当然入院して行われます。入院中は看護師による胃ろうからの栄養補給が行われますのでその時点では何の問題もありません。けれども現 在の医療制度では入院は長くて三か月です。そのあとは在宅に戻るのが原則なのです。在宅で誰が胃ろうからの栄養補給をするのでしょうか?介護の手間が増す だけでなく胃ろうがあるために今まで受けていた介護や援助が受けられなくなる現実があります。たとえば、在宅の方々が頻繁に利用するショートステーという 施設があります。なんと全国のショートステイのうち8割は胃ろうの方の受け入れを困難として拒んでいるという数字をどうすればいいのでしょうか。
もっと重要な事は、胃ろうの人を含めあることをせず「口から食べる」事が出来ないと判断されてしまった人達は、「口から食べる」という人間の根源的な尊 厳や喜びを失ってしまうという事なのです。「人が老いつつ生きると言う意味」を置き去りにした「臓器単位中心の医療」弊害がここにある訳です。
誤嚥性肺炎にならないために
そのためにはどうしたらいいのでしょう。そのためにはあることをする必要があるのです。
あることとは実は「口腔ケア」なのです。そして「摂食嚥下の評価」と「摂食嚥下の訓練、環境整備、食形態への配慮」になります。
では、「口腔ケア」とはどんなことでしょうか。一言でいえばお口の中の細菌を減らすためのケアです。「誤嚥性肺炎」というと食べ物を誤嚥して肺炎を起こ すようなイメージになりますが、実は食べ物自体で肺炎になることはめったにありません。誤嚥して肺炎の原因になるのはお口の中の細菌(プラーク)なので す。なので「口から食べる」事が無い人でも誤嚥性肺炎になりますし、誤嚥していても肺炎にならない人も居る訳です。そしてともすると「口から食べる」事の 無い人の方が実はお口の中は細菌だらけになりやすいのです。「口から食べる」と言う事は実は咀嚼や舌そして頬などの運動や唾液によってお口の中を自然と潤 し清潔にする役目があるのです。
さらに「お口から食べる」事の無い方は口呼吸になりやすく、口の中の細菌がこびりつきより不潔になりやすくなるのです。
生涯を通じてお口から食べるために
ここまで書くと勘の良い方はハハ~ンと思われるのではないでしょうか。そうなのです。口腔ケアとはお口の中の細菌(プラーク)を減らす事なのですが、歯 ブラシをすればいいと言うのではないのです。虫歯や歯周病を治し入れ歯を入れ、きちんと噛めるお口の中の環境を整えその上で歯や舌そして粘膜にこびりつい た細菌(プラーク)を除去することをトータルに口腔ケアというわけです。勿論在宅の環境では出来ることは限られていますが、それでも出来うる限りのことを する必要があります。
だってそれが「口から食べる」事を可能にし、誤嚥性肺炎から命を守ることなのですから。
これからが心配なあなたへ
まだ大丈夫と思われているあなた。関係ないと思われているあなた。そしてちょっと心配になってきているあなた。是非、今のうちにきちんと噛めるお口の中の環境を整えて下さい。そして、今からお口のアンチエイジング体操をして咀嚼嚥下が衰えにくくして下さい。
これを読まれているあなたは、かかりつけ歯科医をお持ちのはずです。何かあれば先生にご相談ください。
また、機会を変えて「お口元気アップ体操」やもう一歩踏み込んでの「摂食嚥下」についてお伝えします。