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2016/05/17[トピックス]虫歯治療が根本的に変る可能性 海外研究グループが指摘
日本の歯科医療の中で、虫歯への診療が激変しており、特に学童期の虫歯り患率、虫歯り患本数は、減少傾向が継続さされている。こうした状況の中で、改めて虫歯治療の方法・対応が基本的変わる可能性を指摘する研究が出てきている。歯科臨床では周知認識されてきたことだが、以下のようにあった。
一般的な虫歯の治療法と言えば、「虫歯を削って詰め物をする」というものだが、最新の研究で「虫歯を削る必要なし」「詰め物も不要」という実験結果が現れて、虫歯治療が根本的に変わる可能性が指摘されている。シドニー大学のウェンデル・エバンス准教授らの研究チームは、22の歯科医療機関と連携してのべ1000人の患者を調査する7年間にもわたる実験の結果から、「ほとんどの虫歯治療にはドリルで削ったり、詰め物したりする必要はない」との結論を出した。実験では、虫歯患者を従来通りのドリルで削って詰め物をするグループと、ドリルで削らずに高濃度のフッ素塗布をした上で、砂糖の入ったお菓子や飲み物の間食を制限する「オーラルケア」と呼ばれる治療法を採るグループとに分けて、虫歯の経過を観察した。
その結果、ドリルで削らなかったオーラルケア・グループの虫歯は30%から50%が減少し、中でも1年間に2本の虫歯治療が必要とされる虫歯リスクの高い層に限って言えば、虫歯の減少率は80%も高かったことがわかった。この結果を受けて、エバンス准教授は、「ほとんどの虫歯のケースでドリルで削って詰め物をする必要はない」と述べている。これまで歯科学会では「虫歯の進行速度は極めて速く、この進行速度を遅くしたり、反対に虫歯を健康な状態に回復させたりすることは不可能である」という固定概念のような定説が支配的であり、そのため、早期に虫歯を削り取るのが良いとされてきたとのこと。しかし、エバンス准教授の実験結果からは、虫歯を削るよりもオーラルケアの方が虫歯の治療に有効であるという、定説を覆す結論が得られそうだ。
なお、大きな穴が空いたような虫歯の場合はもはや手遅れで、ドリルで削り取り詰め物をする従来通りの治療しか有効な手立てはないとのこと。しかし、虫歯が発生し始めてから、一定の時間内の比較的小さな状態であれば、ドリルで削ることなくオーラルケアで治療できるそうだ。エバンス准教授によると50年来続くオーラルケア治療の研究からは、虫歯の進行速度はいつも急激であるとは限らず、それまで考えられてきたよりもはるかにゆっくりであることが分かったとのこと。例えば、虫歯は、歯の外側のエナメル層から内側の象牙質層に”侵攻”するのに4年から8年かかり、その間であれば虫歯を発見してドリルで削る治療をすることなく治療できるそうだ。
エバンス准教授は正しいオーラルケアとしてCaries Management System (CMS)という方法を提唱している。これによると、虫歯を削ることなくオーラルケアする条件として「初期段階の虫歯に高濃度のフッ素塗布治療を施すこと」「正しい歯磨き方法を身につけること」「砂糖の入ったスナック菓子や飲み物の間食を控えること」「虫歯の経過を観察し続けること」を挙げており、削って詰め物をして終わりという1回キリの治療ではなく、歯科医師と協力した継続的な治療が必要のようだ。
DentWave.com より2016/05/10